心疾患がないので塩は悪くないかもしれない
In Absence of Heart Disease, Sodium May Not Be So Bad
By Shereen Lehman
Reuters 2018.08.25
中程度の塩摂取量は心疾患のない人々で心血管問題の危険率に影響を及ぼさないかもしれない、と21ヶ国研究は示唆している。研究者達は平成8年間心疾患のない約96,000人を追跡した。人々が塩摂取量5.1 g/dの勧告値の2倍以上を摂取している場合ですら、彼等は心臓発作、脳卒中、死亡のような重大な心血管疾患の高い危険率を持っていない。中国を除いて社会の80%で、平均塩摂取量は5.1 g/d制限値の約3倍であった。その量の摂取は脳卒中危険率の僅かな増加と関係していた、とランセットで研究チームは報告している。
“5大陸の世界中255社会の研究で、塩摂取量は重大な心血管疾患または死亡率と関係ないことを我々は明らかにした。事実、全ての死因とは逆相関があり、したがって、高塩摂取量は低い死亡率と関係してなかった、”とオンタリオ州ハミルトンのマックマスタ―大学の筆頭者アンドリュー・メンテは電話インタビューで言った。塩摂取量と脳卒中とのポジティブな関係は12.7 g/d以上の非常に高い摂取量でのみ見られた、とメンテは言った。
アメリカ心臓協会は心疾患の危険性がある人々で3.8 g/d以下の塩摂取量を勧めている。心疾患を予防するために、世界保健機関(WHO)は5.1 g/dの制限値を勧めている。メンテのチームは高収入、中収入、低収入の国々で35 – 70歳の成人に関するデータを解析した。諸国の80%で、人々の半分は平均7.6 g/dから12.7 g/dまでの塩摂取量であった。しかし、その範囲の最高値だけで、2.5 g/dの塩摂取量が加わることは3 mmHgの収縮期血圧上昇と関係していた。
塩摂取量は人々の半分が少なくとも14.6 mg/dを摂取している社会だけで主要な心血管疾患と関係していた。しかしここでも、関係は統計的に有意ではなく、結果は偶然に起因する可能性があることを意味する。
“中国以外では、ほとんど社会は7.6 – 12.7 g/dの摂取量に入る。その中程度の範囲では、我々は塩摂取量と如何なる臨床結果または死亡との間に関係を見出していない、”とメンテは言った。“確かに、我々は非常に高い塩摂取量の中国のような社会を目標にする必要がある。世界のほとんど他の社会では、人々は既に中程度の摂取量であり、塩摂取量をさらに下げても利益はなく、事実、有害となる結果をもたらすかもしれない、”とメンテは言った。塩のような単一の栄養素に焦点を当てるよりもむしろ食事品質の改善に焦点を置いた方が良い、と彼は述べた。研究チームは、全ての諸国で、心血管疾患の危険率はカリウム摂取量の増加につれて減少することを明らかにした。カリウムの豊富な食品は果物、野菜、ナッツや種子、ポテト、乳製品である、とメンテは言った。
“それは基礎のしっかりした研究で、上手く行われ、血圧と脳卒中は塩摂取量で増加するが、心臓発作と死亡は増加しなかったことも示した、”とスイス、ベルンの大学病院の心臓学者で附随する論説の共著者であるフランツ・メッセルリ博士はeメールでReuters Healthに語った。正常血圧者が減塩する必要はなにもない、とメッセルリは言った。“高血圧者でなければ、アメリカ人の現在の塩摂取量は受け入れられるように思う、”と彼は言った。