結局、塩がそんなに悪くない理由
Why Salt May Not Be So Bad for You after All
The Economist explains
The Economist Apr 29 2014
伝統的なイギリスの朝食はベーコン、ソーセージ、卵-言い換えれば多くの塩、または塩化ナトリウムが入っていることを特徴としている。しかし、それほど多くの塩が使われていた訳ではなかった。10年前に政府と健康主張者達は加工食品中の塩含有量を減らすように会社に圧力を掛け始めた。その結果、2011年にはイギリス人は2003年よりも15%塩摂取量を減らした。これは心血管の健康を改善することになる、と研究者達は言う。事実、同じ期間に心疾患による死亡に40%の低下と脳卒中による死亡で42%の低下があった。塩に対する事例は明らかなように見える:塩摂取量を減らしたとき、人々はより健康である。しかし、何人かの科学者達は疑っている。何故か?
塩を多く食べれば食べるほど、我々のからだは益々それだけ多くの水を溜める。少なくとも腎臓が塩と水を排泄するまで、これは血圧を上昇させる。塩を問題として見ている人々は、血圧に及ぼす影響はずっと続くと思っており、長期間にわたって多くの塩の摂り過ぎると、高血圧を発症させ、多分死ぬと思っている。これはまた、減塩が心疾患や脳卒中による死亡を減らす理由を説明している。DASH-ナトリウム研究と呼ばれる2001年のアメリカ国立保健研究所が行った多く引用される研究は、コントロール・グループよりも低い塩摂取量の食事をした参加者は有意に低い血圧で終わることを明らかにした。この研究は塩を悪者にする多くの公衆保健発表の根拠となっている。“強いエビデンス”に基づくアメリカ人の食事ガイドラインは避けるべき物のリストのトップに塩を置いている。
しかし、多くのエビデンスはアメリカ政府が認めているよりも弱い。DASH研究は健康に及ぼす塩摂取量の効果を調べてきた多くの研究の一つである。しかし、他の研究は同様の結果を得られなかった。前述のイギリスの塩摂取量と健康との2003-11年の解析は相関を見出したが、喫煙における同時の低下のような他の要因は改善された健康結果を悪くするように思える。20011年に多くの異なった研究からの結果を調査し結び付けた2件のメタアナリシスは、医学的なエビデンスをレビューする非営利グループのコクラン共同研究によって発表された。最初のメタアナリシスは、減塩が低血圧に導くが、これは早死にを少なくする、または心疾患発症率を低くすることに導くには“エビデンスが不十分”であると結論を下したことを明らかにした。第二のメタアナリシスは、“低塩食が健康結果を改善するか、悪化するか、我々は分からない”と全く簡単に結論を下した。“減塩が好ましい明らかな兆候を示さない150件の[ランダム化比較試験]と13件の集団研究以上を調べた後で、そのような兆候は存在しないことを他の立場は受け入れる”と著者らは続けて言った。
何人かの研究者達はさらに踏み込んで、減塩は実際に人の死亡危険率を増加させる、と主張している。体はある量の塩を必要とする;その摂取量が少ないと、腎臓は高血圧に導くレニンと呼ばれる酵素を分泌する。いくつかの研究は、低い塩摂取量が心不全の危険率増加と関係していることを明らかにした。他の研究は、低いNa/K比が心臓の健康に対する鍵となるかもしれないことを示唆している。多くのことは個人に依存している。エビデンスは確定的ではない。しかし、公衆保健当局は塩と心疾患との関係があたかも真実であるかのように長い間言ってきた。そのような信頼は保証されない。イギリスのフル朝食を避ける多くの理由があるが、塩はそれらの理由の一つではない。